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平成27年 労基署の監督指導結果について

[投稿日]2016/08/24[最終更新日]2020/06/04

平成28年8月16日に、厚生労働省が、平成27年の外国人技能実習生の実習実施機関に対する監督指導、送検の状況を公表しました。

実習生受入企業に対する監督指導等について(平成27年)


不正行為を行った実習実施機関等は、入管からその内容や悪質性等により、以下の4つのいずれかの処分が下されます。

1.非該当
2.不正行為の再発防止についての注意喚起
3.改善指導の対象となる不正行為
4.受入れが認められない不正行為

不正行為について



平成27年の労働基準監督署の監督指導では、主に以下のような違反がみられました。

1.労働時間過多(36協定の協定時間を超えている)
2.割増賃金の不払(労基法第37条)

3.法定休日付与違反(労基法35条、36条)
4.無資格の者を就業制限業務に従事させている(安衛法第20~25条)


実習生から労働基準監督署に労基法令違反の是正を求めた主な申告内容は、以下のとおりです。平成27年の申告数は89件であり、前年の138件を下回り、ほぼすべてが賃金不払関係でした。

1.賃金不払(労基法第24条、第37条)
2.最低賃金(最低賃金法第4条)
3.解雇予告手当等(労基法第20条等)


重大・悪質な労働基準関係法令違反が認められると、送検されることがあります。平成27年の送検件数は、平成26年の26件を大幅に上回る46件となっています。

送検理由には以下のようなものがあります。
(送検: 犯罪者・犯罪容疑者、捜査書類・証拠物件を警察から検察庁に送ること)

1.虚偽の賃金台帳の作成(悪質なもの)
2.多額の賃金不払い
3.監理団体による不正関与(悪質なもの)
4.就業制限業務に無資格で従事させ、死亡事故発生

外国人だから残業代が500円でもいいということは絶対にありません。外国人でも、パートでも、アルバイトでも、正社員と同様に、雇用契約に基づき、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金法、労働者災害補償保険法、個人情報保護法等、日本のあらゆる法律が適用されます。

送検されると、ニュース等で社名まで公表されています。それだけでなく、社会的信用失墜、莫大な損害賠償等、被害は甚大なものになります。


違反防止のための注意事項

1.最低賃金について

各都道府県の最低賃金は毎年10月頃上がっています。
特定(産業別)最低賃金は毎年11月から年末頃に上がっています。

2.時間外労働、休日労働について

特別条項付き36協定を締結しても、その限度を超える時間外労働は認められません。また、今後は特別条項が100時間であったとしても、80時間を超えた場合は「時間外労働の削減及び過重労働による健康障害の防止」について指導の対象となります。すべての休日で休むことなく労働させることができる、としている36協定であっても、同様です。週に一度の法定休日(または就業規則等の定めによる4週4休)は、原則として休ませるよう、お願い致します。

3.就業制限業務について

就業制限業務については、必要な「技能講習」または「特別教育」の受講や、「免許」取得をさせた後でなければ、絶対に従事させないようにしてください。

無資格で機械を使用させた上、死亡事故等があった場合、送検、公表され、実習生の受入れが当分の間できなくなるなど、大変な事態に陥ります。

なお、当組合では、技能実習生には、たとえ国際免許等があるとしても、交通事故等不慮の事故防止のため、業務上・業務外にかかわらず、車の運転を認めておりません。

中央労働災害防止協会 就業制限業務について

労働関係法令の基礎知識について