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改正入管法 在留資格の取消事由の拡充

[投稿日]2016/07/01[最終更新日]2020/06/04

2016年11月28日、出入国管理及び難民認定法(入管法)の一部を改正する法律が公布されました。在留資格「介護」の新設を除き、2017年2月末までに施行されます。

実習生を監理する団体として、中でも注目するべき点は、以下の在留資格の取消事由の拡充です。


在留資格の取消事由の拡充

①在留資格に応じた活動を継続して三月以上行わないで在留している場合(現行)に加え、在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い、又は行おうとして在留している場合も取消事由とする 。【第22条の4第1項第5号関係】

この新取消事由①について、逃亡のおそれがあるときは、出国猶予期間を定めず、直ちに退去強制手続に移行することとする。 【第22条の4第7項関係】

これまでの入管法では、実習生が技能実習を行っていない等の理由により、在留資格の取消がなされるまでには、最低3ヶ月という期間が必要でした(在留資格に応じた活動を継続して3ヶ月以上行わない場合のみ該当)。その後ようやく「在留資格の取消⇒30日以内に退去強制手続き」という流れで出国ということになっていました。相当な理由があったとしても、本人の意に反して帰国させるには、出国まで最低でも4ヶ月以上必要でした。

現行の法律

(例)技能実習生が技能実習を行っていない状況が3ヶ月間継続した ⇒ 1を入管が審査し認めた ⇒ 在留資格の取消  ⇒  30日以内に出国


しかし、改正法の施行後、3ヶ月を待たずとも、入管に「実習生が技能実習に従事しておらず」、かつ、「実習生が技能実習以外の活動を行っている、または行おうとしている」と認められれば、在留資格が取り消され、30日以内に出国となり得ます。また、上記に加え、「逃亡すると疑うに足りる相当な理由」があると認められれば、30日を待たずとも、直ちに退去強制手続きが行われます。

A 在留資格の取消 ⇒ 30日以内に出国
1.実習生が技能実習をしない しかも 2.技能実習以外の活動を行っているか、行いそうだ ⇒ 1~2を入管が審査し、認めた ⇒ 在留資格の取消  ⇒  30日以内に出国

B 在留資格の取消 ⇒ 直ちに退去強制
1.実習生が技能実習をしない しかも 2.技能実習以外の活動を行っているか、行いそうだ ⇒ 3.さらに、逃亡しそうだ ⇒ 1~3を全て入管が審査し、認めた ⇒ 在留資格の取消 ⇒ 直ちに退去強制

ただし、技能実習をしないこと等につき「正当な理由がある場合」は除かれます。実習をしないことの理由が、給料が支払われない、暴行を受けた、休日が無く酷使されている等であれば、正当な理由となり、取消事由に該当しないと思われます。また、実習生に対する資格外活動防止対策、失踪防止策の一助になると思われます。