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[投稿日]2016/09/05
[最終更新日]2017/07/18

未経験者が実習生になれるか

未経験者が実習生になれるかどうかの判断については、以下の根拠法令が参考となります。


出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令 (上陸基準省令)
法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄第一号ロに掲げる活動

4 申請人が本邦において修得しようとする技能等を要する業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は申請人が当該技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること。

 

(技能実習法関連)主務省令第10条第2項第3号のニ
団体監理型技能実習に係るものである場合にあっては、本邦において従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は団体監理型技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること。

 

これは、基本的な事ではありますが、上陸基準省令や主務省令に明記されている、実習生の上陸基準(在留資格認定証明書(COE)交付)や、技能実習計画の認定のための条件の1つです。


 

この件について、入国管理局に質問をしました。

前半の「経験があること」が大原則であり、入国管理局において、これまで後半の「特別な事情がある」ということで申請を受け付けたことはまず無いということであり、もし特別な事情があるということで申請があったとしても、そのハードルは非常に高くなり、実質的に、許可は出ないと考えるべきだということです。

したがいまして、経験(例えば、溶接の実習生になろうとする者は溶接の経験、農業の実習生になろうとする者は農業の経験)が無い者は、条件を満たしておらず、在留資格認定証明書(COE)が交付されず、実習生として入国できないと考えていただければと思います。

もし経験が無い者を入れたい(技能実習制度を利用して入国させたい)という場合は、主に以下のようなケースが考えられると思います。

1.社長の奥さんからの要望で、その奥さんの身内を受入れたいが、経験は無い。
2.従業員の奥さんからの要望で、その奥さんの身内を受入れたいが、経験は無い。
3.今受入れている実習生が非常にまじめなので、その兄弟姉妹を入れたいが、経験は無い。
4.企業の社員と親密な関係の人を受入れたいが、経験は無い。

 

経験が無い者を、経験があるとして申請することは、明らかに「虚偽申請」となります。

たとえそれがうまくいったとしても、入国後にどこの誰が入国管理局に通報するかわかりません。同僚の実習生が、その未経験者とけんかして、腹いせに通報するかもしれません。
入国管理局にその虚偽が発覚した場合、何も無いでは絶対に済まされません。
監理団体にとっても、送出機関にとっても、今後の受入れに悪影響が生じることは間違いありません。少なくとも、事実が判明するまで、その後の監理団体の各種申請(入国・更新など)が、すべて数カ月間止められてしまうのではないでしょうか。
当監理団体は、300社以上の実習実施者で1,000人以上の実習生を受入れております。その全企業、全実習生の申請ができなくなってしまうのです。受入そのものができなくなってしまうこともあり得ます。そのあまりにも大きな責任をとってもらえるのでしょうか?

もし、「経験が無い者を、実習制度を利用して入国させることができないか?」とお考えの場合、以上の事をまず十分ご理解下さい。


当監理団体も、送出機関も、虚偽申請は「技能実習生の受入れが認められない不正行為」の一つであり、今後の受入れができなくなってしまいます。したがって、そのような事を行うことはできかねます。

 

技能実習生として入国させることは止めていただくことが最善だと考えます。どうしても入国させたいのであれば、他の在留資格で入国させることができないか、入管申請を専門にしている行政書士等にご相談いただくことが一番ではないでしょうか。