[投稿日]2016/08/02
[最終更新日]2017/08/23
賃金控除協定について
従業員の給料から家賃・水道光熱費・食費・作業着代・通信費などを控除する場合は、賃金控除協定が必要となります。
(法令に別段の定めがある所得税、住民税、社会保険料、雇用保険料は、例外として控除協定が無くても控除可能です。)
しかし、協定を作成し保管している会社は少ないのではないでしょうか?
もしあったとしても、控除項目が不足していないでしょうか?
注意事項
新たに実習生が入国後、当組合が「引き渡しセット」としてお渡ししている賃金控除に関する同意書(日本語と外国語併記)は、あくまでも「実習生に賃金から家賃などが控除されることを理解してもらい、同意してもらうため」に特別に作成しているものであり、ここで説明させていただいている会社代表者と従業員代表との間で締結する協定とは異なりますので、ご注意ください。
1では、社名や従業員代表、日付などの記入必要項目に〇〇〇などをつけております。
1.賃金控除協定 見本
2では、社名など、記入必要項目を空欄にしております。
控除項目に不備がなければ、このままプリントアウトして使用可能です。
2.賃金控除協定 見本(空欄)
以下で詳しく説明します。
労働基準法第24条第1項で、
「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」
と記載されています。
しかし、その後の但書(ただしがき)において、
「(1)法令に別段の定めがある場合 又は 当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは(2)労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」
という記載があります。
(1)法令に別段の定めがある場合
以下のものは法令に定めがあるので、賃金控除協定がなくとも控除可能です。
所得税、住民税、社会保険料、雇用保険料
(2)労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合
⇒ 賃金控除協定
この賃金控除協定があってはじめて、たとえば技能実習生を会社で賃貸しているアパートに住ませている場合、その家賃や水道光熱費などを、実費の範囲内で、給料から控除可能となります。控除協定は、会社代表者と従業員代表との協定であり、技能実習生だけでなく、すべての従業員が対象となります。(1)については記載する必要がなく、法令により控除できます。
もし協定が無ければ、(1)にあるもの以外は控除することができません。
無いにもかかわらず控除してしまうと、労働基準法第24条違反となり、労働基準監督署の「是正勧告」の対象となってしまいます。
賃金控除協定は労働基準監督署に届け出る必要はありません。
上記の見本(PDF)を参考に、もし貴社に控除協定がなければ、ぜひ作成し、保管していただきますようお願い致します。
労使の異議の申し出が無ければ更新されるものになっていますが、会社名、代表者名、従業員代表者名に変更があったり、控除項目に変更や追加があれば、新たに作成しなおす必要があります。
また、賃金控除協定の有無については、当組合が3か月に1度行っている監査の際、チェックしなければならない項目の一つとなっています。
したがいまして、当組合の監査担当者がチェックさせていただいておりますが、監理団体としての義務(法令上しなければならないこと)ですので、ご了承いただきますようお願い致します。