実習実施者が「不正行為」を行い、入国管理局がその「不正行為」を技能実習の適正な実施を妨げるものであったと判断した場合、「不正行為」が終了した後から一定期間(1~5年間)技能実習生の受入れができなくなります。
※「技能実習の適正な実施を妨げるもの」は、以下の内容から総合的に判断されます。
1. 不正行為の内容
2. 行為の悪質性
3. 当事者の関与の度合い
4. 不正行為が行われた期間
5. 技能実習生の被害の程度
6. 改善の可能性
技能実習生の受入れが停止される不正行為 | 受入れ停止期間 |
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実習生に対する 暴行・脅迫・監禁 | 5年 |
実習生のパスポート・在留カードの取上げ | 5年 |
実習生に対する講習手当・賃金の不払い(割増賃金の不払い・不足等含む) | 5年 |
実習生の人権を著しく侵害する行為(通帳の保管等を含む) | 5年 |
実習生の受入れに関し、偽変造文書等を行使・提供する行為 | 5年 |
実習生からの保証金の徴収等(違約金等を含む) | 3年 |
講習期間中に仕事をさせる行為(休日・夜間・早朝含む) | 3年 |
実習生との二重契約 | 3年 |
技能実習計画との齟齬(技能実習計画書と著しく異なる実習をさせる行為) | 3年 |
名義貸し(申請と異なる場所で技能実習をさせる行為) | 3年 |
行方不明者の多発(実習実施機関に責めがある場合) | 3年 |
不法就労者の雇用等(不法就労を唆したり、助ける行為を含む)※ | 3年 |
労働関係法令違反(36協定・休日・賃金台帳等の不備・違反) | 3年 |
監理団体への不正行為の報告不履行、技能実習継続不可能時の報告不履行 | 3年 |
再度「改善指導の対象となる不正行為」を行うこと | 3年 |
技能実習の実施状況に係る文書(技能実習日誌等)の作成・保存不履行 | 1年 |
入管へ不正行為事実が報告されると、以下のいずれかに該当するのか判断されます。
1.「受入れが認められない不正行為」
不正行為が技能実習の適正な実施を妨げるものであった場合は、不正行為が終了した日から少なくとも1~5年間受入れが認められません。その受入期間を経過後、改善報告書を提出したとしても、技能実習の適正な実施が可能であると認められるまで受入れが再開できません。
2.「改善指導の対象となる不正行為」
不正行為が短期間・短時間に留まるなど不正の程度が軽微である場合、改善措置を講ずるよう指導を受けます。その後改善報告書を提出し、技能実習の適正な実施が可能であると認められるまで受入れができません(現在受入れている実習生の在留期間更新・在留資格変更申請や、新規で入国させるための在留資格認定証明書交付申請は受理されません。既に申請中の案件についても保留となり許可されません)。再度不正行為を行うと、少なくとも3年間の受入停止となります。
3.「不正行為の再発防止についての注意喚起」
不正行為がごく軽微であり改善指導を行うまでの必要性がない場合、口頭での注意が行われることがあります。不正行為の報告等による確認の後、改善の有無を確認、再発防止について注意喚起が行われます。改善されない場合、または不正行為が繰り返し行われるようであれば、2.の改善指導の対象となります。
4.「非該当」
不正行為に該当しないもの。