在留カードとは

2012年6月までは「市町村役場」で外国人登録証明書(alien card)が交付されていましたが、その後は「入国管理局」で在留カード(residence  card)が交付されるようになりました。
在留カードは、
 1.入国時
 2.在留資格を変更した時
 3.在留期間を更新した時
入国管理局より交付されます。技能実習生が3年間在留する場合は、少なくとも3回交付されることになります。

外国人登録証明書は、不法滞在者を含め全ての外国人に交付されていましたが、在留カードは短期滞在の在留資格の外国人や不法滞在者には交付されません。また、個人情報保護の観点から最低限の情報しか記載されておらず、偽変造防止対策として高度のセキュリティ機能を有するICチップが内蔵されるようになりました。

在留カードを紛失または汚損した時には

紛失した時
それを知った日から14日以内に最寄りの交番や警察署で遺失・盗難届出を行い、受理番号をメモします。次に、本人がパスポートと写真を持参して入国管理局で再発行の手続きをします。原則即日交付されます。

汚損した時
本人が在留カードとパスポートと写真を持参し、入国管理局で再発行の手続きをします。原則即日交付されます(ただし、単に交換したい場合は1,300円の手数料が必要です)。

在留カードがない状態で警察官に職務質問された場合、関係者が呼び出しを受けることもありますので、速やかに再発行手続きを行いましょう。

当組合には、入国管理局長から申請取次を承認された職員が在籍しております。在留カードの紛失後、警察署への遺失・盗難届は本人が行わなければいけませんが、入国管理局での再発行手続きは委任状を受けた申請取次者による手続きが可能です。

在留カードの携帯について

技能実習生のみならず、在留カードを交付された全ての外国人は、在留カードを常時携帯する必要があり、入国審査官や警察官等から提示を求められた場合には提示する義務があります。パスポートを携帯していても、在留カードは常時携帯することが必要です。

技能実習生に対する生活上の禁止事項について

技能実習生に携帯電話を持たせたくない、1人で外出させたくないなど、問題が起こらないよう禁止したいという要望がありますが、入国管理局の見解は「原則合理的な理由がなければ禁止できません。日本人に禁止していないものは、実習生にも禁止するべきではありません」とのことです。

実習生の受入れ先が携帯電話所持を禁止するなど人権侵害行為(不正行為)を行い、実習生本人が入管に苦情を訴えた場合、入管が受入れ先を調査することがあります。携帯電話の代わりにパソコンでインターネットを利用させているため人権侵害に当たらない、という主張は通用しません。ただし、「家族との連絡はインターネットで行うため携帯電話は必要ありません」と申し出た実習生の場合は問題ありません。

日本語能力試験(JLPT)について

技能実習生が受ける日本語の試験には、日本語能力試験(JLPT)があります。レベルはN1からN5まであり、毎年7月と12月の第1日曜日に試験が行われています。
当組合では実習生の日本語能力向上のため、日本語能力試験受験を推奨しています。

畜産農業の実習生受入れについての注意事項

養鶏
ブロイラー肥育など食肉用鶏の飼養・管理のみを行う場合は、1年までしか受入れられません。年間を通じ、鶏舎で採卵を目的とした鶏の飼養・管理を行っていることが3年受入れの条件です。

酪農
肉用牛の飼養・管理のみを行う場合は、1年までしか受入れられません。年間を通じ、牛舎で生乳またはこれから加工した乳製品の生産を目的とした乳用牛の飼養・管理を行っていることが3年受入れの条件です。

養豚
年間を通じ、豚舎で繁殖用および食肉用を目的とした豚の飼養・管理を行っていることが3年受入れの条件です。

養鶏・酪農・養豚の全てにおいて、庭先等での飼養・管理であれば1年までしか受入れられません。

労災保険・雇用保険・社会保険について

労災保険
個人農家で常時5人未満の労働者を雇用する労災保険暫定任意適用事業であっても、実習生受入れのためには法務省の上陸基準省令 技能実習1号ロ 第12条で加入が義務付けられています。専従者(生計を一にする親族)のみの個人農家で、現時点では加入できない場合であっても、実習生が監理団体での講習を終了し、その農家で技能実習を開始した(雇用された)後、直ちに加入する必要があります。
労災事故の後、労基署へ私傷病報告を提出しただけでは保険金は振り込まれません。

雇用保険
労働者を雇用する全ての法人事業所・個人事業主に法律で加入が義務付けられています。ただし、常時5人未満の労働者を雇用する農業の個人事業主は、任意適用事業となります(専従者は雇用保険加入対象者人数に含まれません。専従者しかいない場合、実習生総数が5人になったときに加入する必要があります)。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)
全ての法人事業所、常時5人以上の労働者を雇用する個人事業主に法律で加入が義務付けられています。ただし、常時5人未満の労働者を雇用する個人事業主と、常時5人以上の労働者を雇用する個人事業主であっても農業の事業主は任意適用事業主となります。

実習生の雇用条件書には、労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金等への加入有無にチェックする箇所がありますので、雇用条件書に記載されているとおりに加入してください。
社会保険加入対象外の場合は国民健康保険・国民年金保険に強制加入となりますので、実習生が無保険状態にならないようご注意ください。

参考:日本年金機構  厚生年金適用事業所について
     全国健康保険協会  健康保険適用事業所について

休業(補償)給付

<支給要件> ①~③のすべての要件を満たす必要があります。
 ①業務または通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため
 ➁労働することができず、
 ③そのために賃金を受けていないとき
労働者本人が直接管轄の労働基準監督署に「休業補償給付支給請求書(業務災害の場合)」または「休業給付支給請求書(通勤災害の場合)」を提出することにより、「休業補償給付(業務災害の場合)」または「休業給付(通勤災害の場合)」が休業第4日目から支給されます。4日未満の休業に支給はありません。

事業主が行うこと
休業の初日から第3日目までを待機期間といい、この待期期間は業務災害の場合、事業主が労基法の規定に基づく休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行う必要があります。これは上記の休業(補償)給付とは別のものですのでご注意ください。

休業(補償)給付についての注意事項
まずは事業主から、労災事故の後、遅滞なく(1~2週間以内に)労働基準監督署へ「労働者死傷病報告」を提出する必要があります。
 ・4日以上の休業→労働者死傷病報告(様式第23号 提出期限:遅滞なく)
 ・4日未満の休業→労働者死傷病報告(様式第24号 提出期限:四半期毎に翌月末日まで)
休業(補償)給付申請はその後になります。
休業(補償)給付申請書には、医師の証明(署名または捺印)と事業主の証明(署名または捺印)が必要です。「書類を病院に提出したらあとは病院がやってくれる」と考えるのは大きな間違いです。病院から労働基準監督署に送付されるのではなく、労働者が直接労働基準監督署に提出する必要があります。この提出がなければ給付されることはありません。
申請から労働者本人の口座への給付までは1ヵ月程度かかります。
なお、労災事故後、休業(補償)給付申請を忘れていたとしても2年以内であれば申請可能です。
時効:賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年

休業(補償)給付金の計算方法
給付基礎日額(平均賃金)の具体的な計算方法は個別に管轄の労働基準監督署へご確認ください。状況により計算方法が異なります。
休業1日につき、給付基礎日額の80%(休業(補償)給付=60%+休業特別支給金=20%)が支給されます。
 休業(補償)給付=給付基礎日額の60%×休業日数
 休業特別支給金=給付基礎日額の20%×休業日数
 給付基礎日額=労基法の平均賃金(事故発生日以前の3ヵ月間の総賃金÷事故発生日以前の3ヵ月間の総日数)

その他 療養(補償)給付
業務または通勤が原因となった傷病の療養を受けるときの給付です。労災保険により、休業(補償)給付とは別に、労災指定医療機関などで治療を受けたときの治療費が請求可能です。労働者が直接、労働基準監督署へ申請を行います(療養補償給付たる療養の給付請求書)。事業主から請求書に証明(署名または捺印)を受ける必要があります。

健康保険傷病手当給付
労災保険対象外の場合、以下の4つの条件を満たすことにより、健康保険傷病手当金が給付されます。
(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
(2)仕事に就くことができないこと
(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
(4)休業した期間について給与の支払いがないこと

参考: 厚生労働省 労災保険 休業(補償)給付の請求手続
   厚生労働省 労災保険請求のためのガイドブック 第1編(外国人向け 日本語版)
   厚生労働省 労災保険請求のためのガイドブック 第2編(外国人向け 日本語版)
   社団法人安全衛生マネジメント協会 労働災害にまつわる手続きガイド
   全国健康保険協会 傷病手当金

最低賃金について

地域別(都道府県別)最低賃金は毎年10月頃、特定(産業別)最低賃金は毎年12月頃改定されます。
実習生の賃金(給料)が最低賃金を下回ることがないよう、定期的にご確認ください。

参考:厚生労働省 最低賃金制度

年金の脱退一時金請求について

6ヵ月以上年金を支払っていた技能実習生が、国民年金または厚生年金保険の被保険者資格を喪失し、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができます。請求は、技能実習生本人が母国に帰ってから日本年金機構に行う必要があります。当組合では全実習生に対し、帰国前に必ず脱退一時金請求の方法を教育しています。

参考:日本年金機構 脱退一時金に関する手続き

マイナンバーカード紛失の際の手続き

最初にマイナンバーカード機能停止の手続きのため(悪用防止のため)、個人番号カードコールセンターへ連絡します。
 ・0120-95-0178
 ・0120-0178-27(外国語対応)
 ・0570-783-578
その後、警察に遺失届を提出し、受理番号を控えてください。次に、お住まいの市区町村へ届け出て、マイナンバーカードの再交付申請をしてください。再交付手数料は1,000円です。

再交付にあたっては、紛失したカードの廃止手続きが必要です。
自宅紛失のため遺失届が受理されない場合は、再交付手続きの際にその旨をお伝えください。再交付に必要な持ち物は、住民登録のある市区町村窓口へお問い合わせください。

倒産等による技能実習生の受入れ先変更について

技能実習生の受入れ先変更は、原則として監理団体や実習実施者が倒産・不正行為認定を受けた場合など、技能実習継続不可能の状態になった場合に限定されています。原則3名中1名だけといった部分的な受入れ先変更は認められず、3名全員の移動となります。

このような場合、当組合としてはできる限り(1名だけでも)他の受入れ先を探す努力をしますが、どうしても新たな受入れ先が見つからない場合は、不本意ながら途中帰国させることになってしまいます。

また、経営状況の悪化のため全員を途中帰国(または他の実習実施者に移動)させた場合、その後すぐに経営状況が改善されて再度認定申請をしても、入管が新たな受入れを早期に認める可能性は低くなります。

技能実習生が入国当初に与えられる在留期間について

原則として、技能実習生の技能実習1号ロ(1年目)の期間を1年として入管に申請した場合、入国当初は1年の在留期間が与えられます。

しかし例外として、受入れ先に対して労基署から是正勧告書が交付された場合、入管から改善指導等を受けた場合、多数の途中帰国者を出した場合、前期の決算が赤字だった場合、新規受け入れ・新設企業であるといった場合には、入国当初の在留期間が6ヵ月となることがあります。

未経験者が実習生になれるか

未経験者が実習生になれるかどうかの判断については、以下の根拠法令が参考となります。

(根拠法令:法務省令)
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令 (上陸基準省令)
法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄第一号ロに掲げる活動

4 申請人が本邦において修得しようとする技能等を要する業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は申請人が当該技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること。

これは、上陸基準省令に記載の実習生の在留資格認定証明書(COE)交付のための条件の1つです。申請人=実習生です。

入国管理局に確認したところ、「経験があることが大原則であり、入国管理局において、これまで「特別な事情がある」という理由で申請を受け付けたことはない。もし特別な事情があるという申請があったとしても、そのハードルは非常に高くなり、実質的に許可は出ないと考えるべき」とのことでした。
つまり、未経験者は技能実習者になれないと考えてください。

常勤職員の考え方について

常勤の職員とは、入国管理局の考え方では、以下のいずれかに該当する方をさします。

 (1) 労働日数が週5日以上、かつ年間217日以上、かつ週労働時間が30時間以上の者
 (2) 入社日を起算点として、6ヵ月以上継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した職員で10日以上の年次有給休暇を与えられた者
 (3) 雇用保険の被保険者であり、かつ1週間の所定労働時間が30時間以上である者(ただし「短期雇用特例被保険者」または「日雇労働被保険者」を除く)

ただし、外国人技能実習機構(機構)の考え方では、原則として社会保険加入者が常勤職員となります。また、常勤職員数は技能実習生を除いた人数です。

団体監理型技能実習の取扱職種の範囲等について

新制度では、「団体監理型技能実習の取扱職種の範囲等」(参考様式2-16号)に記載してある職種・作業以外は、技能実習生の受入れができません。
新たな職種・作業で技能実習生を受入れたい場合は、以下のどちらかの条件を満たす、技能実習生に修得等をさせようとする技能等について一定の経験または知識を有する役員または職員(常勤・非常勤を問わない)を確保する必要があります。

1.取扱職種について5年以上の実務経験を有する者
職種と作業の両方を満たしていなくても、職種単位で一致する経験であれば構いません(条件を満たす人を、常勤か非常勤で雇う必要があります)。その条件を満たす方が技能実習計画の作成指導者となる必要があります。

2.取扱職種に係る技能実習計画の指導歴を有する者
認定された技能実習計画(新たな職種・作業)の作成指導経験(旧制度の場合、在留資格認定証明書が交付された経験)があることが必要です。条件を満たす人(例えば他の組合で作成した経験がある人)を、常勤か非常勤で雇う必要があります。その方が技能実習計画の作成指導者となる必要があります。

認定申請時だけ一時的に条件を満たす人を雇いその後すぐに退職させるのであれば、訪問指導時に指導ができないため、原則としてこの条件を満たしていません。

日本国大使館でのビザの原則的発給基準

原則として、ビザ申請人が以下の要件を全て満たしている場合にビザの発給が行われます。

 (1) 申請人が有効なパスポートを所持しており、本国への帰国または日本への再入国の権利・資格が確保されていること。
 (2) 申請に係る提出書類が適正なものであること(偽造書類ではないこと)。
 (3) 申請人の本邦において行おうとする活動または申請人の身分もしくは地位および在留期間が、出入国管理および難民認定法(以下「入管法」という)に定める在留資格および在留期間に適合すること。
 (4) 申請人が入管法第5条第1項各号のいずれにも該当しないこと(感染症の所見がないこと)。

フィリピンの場合は、出生届が遅延届(Late Registration)の場合、追加で洗礼証明書、小学校または高校の成績表(様式第137号)、卒業アルバム等(それぞれ教会や学校の住所や電話番号も必要)の提出を求められる等、審査が非常に厳しくなります。当組合は、実習生のビザ発給をできる限り確実なものとするため、原則として、出生届の遅延届を行っているフィリピン人は技能実習生候補者として認めていません。

日比租税条約について

フィリピン人実習生は年間の収入が1,500ドルを超えるため、日比租税条約による免税の恩恵は適用されません。詳細につきましては、最寄りの国税局にご確認ください。

参考:所得に対する租税に関する二重課税の回避および脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約

警察証明(犯罪経歴証明書)

フィリピン人技能実習生が帰国する前に、「カナダやオーストラリア等で海外就労するため、police clearance(犯罪経歴証明書)が欲しい」と希望することがあります。日本国内でも居住地を管轄する都道府県警察本部にて申請することは可能ですが、以下の条件があります。
 1.申請は必ず本人が平日の昼前に警察本部へ行く必要がある
 2.約1週間後の受取りたのめ、再度平日の昼間に警察本部へ行く必要がある(この時は委任でも可能)
 3.渡航予定の国名、取得予定のビザの正式名称が必要
 4.渡航予定の国やビザの種類によっては犯罪経歴証明書を発行できないことがある(事前に確認するとよい)
 5.記載済みの(外国へ渡航するための)ビザ申請書のコピーが必要

したがって、当組合では帰国後にフィリピンの日本国大使館で申請するよう伝えています。フィリピンの日本国大使館で申請すれば、約2ヵ月で証明書を受け取ることができます。
各都道府県警察のホームページにも説明がありますが、内容はほぼ同じです。ただし、手数料が異なる場合があります。

広島県警察 日本語:「犯罪経歴証明書」申請手続きのご案内
       英語:Information on Application for Issuance of Police Certificates
在フィリピン日本国大使館 日本語:在フィリピン日本国大使館 警察証明
              英語:Japan Embassy in the Philippines: Police Clearance

技能実習生以外の外国人を雇う場合の注意点

在留カード表面には「就労制限の有無」の記載がありますので、「就労不可」の場合は原則雇うことができません。また、在留カードがない外国人は働くことができません。

特に制限なく就労可能なのは、在留資格が「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」「日本人の配偶者等」の4つのみです。この4つの在留資格をもつ外国人であれば、採用に問題はありません。

外国人従業員の在留資格が「日本人の配偶者等」である場合の注意点

外国人従業員が日本人と離婚した場合、「日本人の配偶者等」の在留資格に該当しなくなるため、離婚した日から14日以内に最寄りの入国管理局に報告する必要があります。原則、母国へ帰国することになりますが、引き続き日本に在留したい場合は入国管理局の審査官と相談することになります。