[投稿日]2016/09/05
[最終更新日]2024/11/20
未経験者が実習生になれるかどうかの判断については、以下の根拠法令が参考となります。
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令 (上陸基準省令)
法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄第一号ロに掲げる活動
4 申請人が本邦において修得しようとする技能等を要する業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は申請人が当該技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること。
(技能実習法関連)主務省令第10条第2項第3号のニ
団体監理型技能実習に係るものである場合にあっては、本邦において従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は団体監理型技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること。
以上は上陸基準省令や主務省令に明記されている、実習生の上陸基準(在留資格認定証明書(COE)交付)や、技能実習計画の認定のための条件の1つです。
この件について、入国管理局に質問をしました。
前半の「経験があること」が大原則であり、入国管理局において、これまで後半の「特別な事情がある」という理由で申請を受け付けたことはまずない、とのことでした。
もし特別な事情があるという理由で申請があったとしてもそのハードルは非常に高く、実質的に許可は出ないと考えるべきです。
つまり、経験(溶接の実習生を希望するなら溶接経験、農業の実習生を希望するなら農業経験)がない者は条件を満たさず、在留資格認定証明書(COE)が交付されない=実習生として入国できない、です。
経験がない者を技能実習制度を利用して入国させたい、と考える場合、以下のようなケースが想定されます。
1.社長の奥さんからの要望で奥さんの身内を受入れたいが、経験はない。
2.従業員の奥さんからの要望で奥さんの身内を受入れたいが、経験はない。
3.今いる実習生が非常にまじめなのでその兄弟姉妹を入れたいが、経験はない。
4.社員と親密な関係の人を受入れたいが、経験はない。
経験がない者を経験者として申請することは、「虚偽申請」にあたります。
もしうまくいったとしても、入国後誰かに通報されるかもしれません。
入国管理局に虚偽が発覚した場合、必ず何らかのペナルティが課せられ、監理団体にとっても送出機関にとっても今後の受入れに影響が出ます。少なくとも、事実が判明するまで監理団体の各種申請(入国・更新など)が数カ月間止められてしまうでしょう。
当組合では、300社以上の実習実施者で1,000人以上の実習生を受入れています。その全企業、全実習生の申請ができなくなってしまうのです。受入そのものができなくなってしまうこともあり得ます。
「経験がない者を実習制度を利用して入国させられないか?」と考えることがあったとしても、以上の内容をご理解いただいたなら、不可能だとわかるはずです。
虚偽申請は「技能実習生の受入れが認められない不正行為」の一つであり、当監理団体ではそのような不正行為に手を貸すことはできません。