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[投稿日]2016/05/08
[最終更新日]2017/07/18

エンジニアとは

 最近、以前技能実習生であった者を技術者(engineer)として再来日させることができるということを謳い文句に営業をしている業者や、できると言っている元・技能実習生が存在するようです。

 また、元技能実習生ではありませんが、ベトナム人の技術者を採用しませんかと、営業している業者がいるようです。
 このような業者は、大抵、入管に申請取次ができる資格をもった行政書士等ではなく、求人の申し込みを受け、企業の要望に沿って外国の人材を探し、現地面接に同行し、雇用契約締結までのあっせんをし(職業紹介)、入管への申請書類作成を補助するまでを行う業者です。
 入管の取次申請資格が無ければ、入管への申請取次(企業の代理で申請)を行うことができません。
 また、職業紹介を行っているのですから、職業紹介事業の許可や届け出を行っていなければ、その業者は
職業安定法第64条の規定により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることとなってしまいますが、許可や届け出を行っているかどうかもわかりません。

 「技術者」と言うからには、該当する在留資格は「技術・人文知識・国際業務」と思われます。入管職員は、省略して「ぎ・じん・こく」と言うこともあります。平成27年4月に、以前の在留資格「技術」と「人文知識・国際業務」が統合されております。

 その在留資格(技術者の場合)をもって日本で可能な活動は、以下の通りです。

 ここが一番重要です。

 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務に従事する活動。

 該当例としては、プログラマー、システム解析、システム開発、ソフトウェアエンジニアなど。

 元・技能実習生で技術者として再来日できるような条件を満たしている人は、ほとんどおりません。4年生大学の理工系学部卒であり、技術者(システム設計・システム解析・開発・プログラマー・ソフトウェアエンジニアなど)として職務経験があるような者が、実習生候補者として面接に参加することは、滅多にありません。しっかりした送り出し機関であれば、実習生候補者になろうとした段階で、落とされるはずです。たとえば溶接の実習生には、溶接の職務経験が全く無い場合はなれません。システム設計ばかりをしていた者が、1年間溶接工として仕事をしていたということが入管に信用されるでしょうか。

どれだけ巧妙に事実を隠そうとしても、嘘は必ず入管や大使館によって暴かれます。

 

なお、元実習生でなければ、条件を満たした者は探せば見つかると思います。ただし、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の外国人は、技能実習生のように、工場や現場での作業(たとえば溶接・機械加工・組立・塗装・建設作業・食品加工など)に従事させることは、認められていません。もし行わせれば、資格外活動となってしまいますので、十分ご注意ください。

もし、「エンジニアであっても、活動に制限はない。システム開発などたまにさせていればいい。実習生のように、工場作業をやらせてもいい。入管が来ても問題ない。雇用条件書に書いて、特に指摘されずに許可を受けたのだから。」と言っているような業者であれば悪質な業者であると思われます。直接、入国管理局に質問していただければ、間違いであることがわかります。

 

外国人の中で、特に制限なく仕事ができるのは、「永住者」・「永住者の配偶者等」・「日本人の配偶者等」・「定住者」の在留資格を持った人だけです。この4つ以外の在留資格の方は、就労に関して、大きな制限があります。ついでですが、在留資格「短期滞在」の方は、一切仕事ができません。また、「永住者」であっても、選挙権はありません。

 


 

 上陸基準省令では、以下のような規定があります。

 申請人が次のいずれにも該当していること。


一 申請人が自然科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していること。ただし、申請人が情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときは、この限りでない。


 イ 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。


 ロ 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。


 ハ 十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。



三 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

法務省 上陸基準省令


 

 法務省のホームページにて、これまで許可を受けた典型的な事例が紹介されておりますのでご参照ください。

法務省 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について


 

 その他、技能実習生には、上陸基準省令によって、「帰国後本邦において修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること。」という基準が規定されています。
 この意味するところは、まず帰国後、ある一定の期間、溶接工の技能実習生であったならば、母国で溶接技術を要する業務に従事していなければならないということです。

法務省 技能実習 上陸基準省令
13ページの右から5~6行目をご覧ください。


 

 元技能実習生で、以上の条件を全て満たす人はほとんど存在しません。

 このような状況にもかかわらず、一部の元技能実習生が、「できる、だいじょうぶです。この送り出し機関が大丈夫と言っています」と言って以前の技能実習先に連絡している事例もあるようです。

 安易に信用せず、ぜひ、以上の事前知識を持った上で、元実習生や業者と話をされることをお勧めいたします。在留資格の認定を出すのはあくまでも「日本の入国管理局」です。フィリピンの業者がいいと言っても、日本の入管が認定を出さなければ、どうすることもできません。

 なお、当組合では、外国人の在留資格「技術・人文知識・国際業務」取得手続き支援等を組合事業として行うことはできかねます。

 あまり数は多くないですが、その業務を専門に行っており、実績があるプロの行政書士等にご相談されることをお勧めいたします。