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[投稿日]2016/09/07
[最終更新日]2024/11/20

現地面接の注意事項

実習生の母国へ赴き、時間をかけて技能試験や口頭面接等を行って雇用契約を締結したにもかかわらず、ちょっとしたことで入国できなくなるケースがあります。

今回はそのうちの1つ、いわゆる「虚偽申請」に関して過去の事例を2つ挙げて説明いたします。

 


 

問題事例1
以前、ダンサー(在留資格「興行(こうぎょう・entertainer)」)として入国申請していた

あるフィリピン人女性は、以前ダンサー(在留資格「興行(こうぎょう・entertainer)」)として入国するため、業者を通じて入管に「在留資格認定証明書(COE)」交付申請をしていた。このたびは実習生としてCOE申請中だったが、入管からの電話でダンサー申請時とは全く異なる履歴書を提出していたことが判明し、COE申請をキャンセルせざるを得なくなった。

送り出し機関の事前調査(チェックシート)では「入管への申請歴 無し」にチェックされていた。その後本人を問い質したところ、申請した可能性はあったが申請したかどうかはっきりわからなかったため、申請したことがないと申告したとのことだった。本人は悪いことをしたとは思っていなかった。

 


 

ポイント1.

入管は申請人(外国人)から一度でも申請があれば、そのデータを半永久的に保存します。
一旦申請してしまえば、すぐに申請を取り下げたとしてもデータは半永久的に残ります。

したがって、以前の申請から5年後に「もう5年経ったのだから入管もわからないだろう」
と考え、新たな内容で申請しても、入管には必ずわかります。

過去に入管に申請していた場合、以前の書類と相違点があれば(特に職歴)、虚偽の申請として入管からCOEが交付されず入国できません。しかも、その後入管に対して虚偽申請を謝罪し、改めて正しい内容で申請したとしても、偽造書類を提出した者として一定期間申請が通らない可能性があります。

 


 

問題事例2.
以前、在留資格「短期滞在(Temporary Visitor)」で入国したことがあった

あるフィリピン人女性(実習実施機関代表者の配偶者の身内)は、実習生としてCOE申請をする以前、在フィリピン日本国大使館にて在留資格「短期滞在(Temporary Visitor)」のビザ申請を行って入国していた。当初の在留期間は最長でも90日間だったが、来日後入管で在留期間更新申請を行い、その時記載されていた職業が「教師(先生)」だった。

数年後、実習生として入国するため入管に申請したが、「履歴書(職歴)に教師をしていたことが一切記載されておらず、しかも一度入国して更新までしているにもかかわらず入国歴なしと記載されている。前回の書類と今回の書類のどちらが正しいのか?」という問い合わせがあり、事態が発覚した。

これにより、COE申請をキャンセルせざるを得なくなった。日本にいる身内も、彼女が一度入国したことは知っていたはずだがそのことを隠していた。

 


 

ポイント2.

在留資格「短期滞在(Temporary Visitor)」で入国しようとする場合、入管ではなく外国の日本大使館に申請することとなります。ただし、入国した場合は入管にも入国履歴が残ります。

在留資格「短期滞在(Temporary Visitor)」で入国した場合、在留期間を更新せずに帰国すれば入管に「職業」や「職歴」等のデータは残りませんが、在留期間更新申請をするとその時点で入管にデータが残ってしまいます。前述のとおり、入管は一度でも申請があれば、その申請者のデータを半永久的に保存します。

 


 

問題防止策

このような問題を回避する万全な方法は、残念ながらありません。
本人が正直に言わない限りわかりようがないからです。
入管や大使館に質問したとしても、詳細については絶対に教えてもらえません。
事例を説明して本人に自白させるか、嘘を見抜くしか対処する術はないのです。

なお、当監理団体が提携している送り出し機関に対しては、当監理団体からチェックシートを提供しており、面接候補者になる前段階で確実に調査するよう依頼しています。しかし、送り出し機関における調査で虚偽の証言をする者が少なからず存在するため、現地面接が非常に重要となります。

現地面接の際は、できるだけ予定どおりに入国させるためにも、以下の点に十分ご注意ください。

 

1.以前入管にCOE申請をしたことがあるか、あるいは在留資格「短期滞在」の申請の場合は、大使館にビザ申請をしたことがあるかどうか確認する。

2.もし申請したことがあれば、以前入管や大使館に提出した履歴書やパスポートのコピーでどんな申請をしたか確認し、入国歴があれば入国回数や目的、滞在期間、更新の有無を確認する。

3.確認できなければ、どんなによさそうな者であっても絶対に選ばない。

4.申請したかどうかはっきりしない場合も、念のため選ばない。なぜなら、在留資格「興行(歌手やダンサーなど)」であれば、本人が知らない間に日本の業者に申請されている可能性があるからです。

5.以前の申請について正直に話し、当時の履歴書やパスポートのコピーを提出した者に対しても、その申請が1年以上前のものであれば原則として受け付けない。

6.以前申請していれば、それが10年前であっても入管には必ずわかり、入国できなくなるばかりか送り出し機関や監理団体、実習実施機関に多大なる迷惑をかけ、次のチャンスもなくなるということを理解させ、緊張感を持たせることが重要だと考えます。


技能実習を希望する外国人の中には、日本の入管がそこまでしっかり調査していることを理解しておらず、嘘をついてもばれないと考えている者が少なくありません。