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[投稿日]2016/09/07
[最終更新日]2017/07/18

現地面接の注意事項

せっかく実習生の母国へ赴き、時間をかけて技能試験や口頭面接等を行い、雇用契約を締結したにもかかわらず、ちょっとしたことで入国できなくなるケースがあります。

今回は、そのうちの1つ、いわゆる「虚偽申請」に関して、過去の実例を2つ挙げて説明いたします。

 


 

問題事例1
以前ダンサー(在留資格「興行(こうぎょう・entertainer)」)として入国申請していた者

あるフィリピン人女性は、以前ダンサー(在留資格「興行(こうぎょう・entertainer)」)として入国するため、業者を通じて入管に「在留資格認定証明書(COE)」交付申請をしていた。今回、実習生としてCOE申請中だったが、入管から電話があり、ダンサーの時の申請とは全く異なる履歴書を提出していたことが判明した。

これにより、COE申請をキャンセルせざるを得なくなった。

送り出し機関の事前調査(チェックシート)では、本人は「入管への申請歴 無し」の方にチェックを入れていた。その後本人を問い詰めたところ、申請した可能性はあったが、申請したかどうか、はっきりわからなかったため、申請したことが無いと送り出し機関に申告したとのことだった。本人は、特に悪いことをしたとは思っていなかった。

 


 

ポイント1.

入管は、申請人(外国人)から、一度でも申請があれば、その申請者のデータを半永久的に保存します。
一旦申請してしまえば、途中ですぐに取り下げたとしても、そのデータは半永久的に残ります。

したがって、申請人が、たとえば以前の申請の5年後に、もう5年経ったのだから入管もわからないだろう、と考え、どんなに巧妙に嘘を隠そうとしても、絶対に入管にはわかってしまいます。


以前入管に申請していた者の場合、以前の書類と相違点があれば(特に職歴)、虚偽の申請として、入管からCOEが交付されません。つまり、入国できません。しかも、その後入管に対し、虚偽申請について謝罪し、改めて申請したとしても、偽造書類を提出した者として、その後当分の間申請が通らないと思われます。

 


 

問題事例2.
以前、在留資格「短期滞在(Temporary Visitor)」で入国したことがあった者

あるフィリピン人女性(実習実施機関代表者の奥様の身内)は、実習生としてCOE申請をする以前、在フィリピン日本国大使館にて在留資格「短期滞在(Temporary Visitor)」のビザ申請を行い、入国していた。当初の在留期間は最長でも90日間だが、来日後、入管で在留期間更新申請を行い、その時記載されていた職業が「教師(先生)」となっていた。

その数年後、実習生として入国するために入管に申請したが、入管から電話があり、「履歴書(職歴)に、教師をしていたことが一切記載されておらず、しかも、一度入国しており、更新までしているにもかかわらず、入国歴無しと記載されている。前回の書類と今回の書類とどちらが正しいのでしょうか?」ということが発覚した。

これにより、COE申請をキャンセルせざるを得なくなった。日本にいる身内の方も、一度入国したことは知っていたはずだが、隠していたようだ。

 


 

ポイント2.

在留資格「短期滞在(Temporary Visitor)」で入国しようとする場合は、入管は通さず、外国の日本大使館に申請することとなります。ただし、入国した場合は、入管にも入国歴(入国回数、いつからいつまで滞在していたか)が残ります。

在留資格「短期滞在(Temporary Visitor)」で入国した場合は、在留期間を更新せずに帰国すれば、入管には「職業」や「職歴」等のデータは残りませんが、もし入管に在留期間更新申請をすると、そこで入管にデータが残ってしまいます。前述のとおり、入管は、申請人(外国人)から、一度でも申請があれば、その申請者のデータを半永久的に保存します。
一旦申請してしまえば、途中ですぐに取り下げたとしても、そのデータは半永久的に残ります。

したがって、申請人が、たとえば以前の申請の5年後に、もう5年経ったのだから入管もわからないだろう、と考え、どんなに巧妙に嘘を隠そうとしても、絶対に入管にはわかってしまいます。

以前入管に申請していた者の場合、以前の書類と相違点があれば(特に職歴)、虚偽の申請として、入管からCOEが交付されません。つまり、入国できません。しかも、その後虚偽申請について謝罪し、改めて申請したとしても、偽造書類を提出した者として、その後当分の間申請が通らないと思われます。

 


 

問題防止策

このような問題を回避する万全な方法は、残念ながら、ありません。
本人が正直に言わない限り、わからないからです。
入管や大使館に質問したとしても、詳細については絶対に教えてもらえません。
したがって、事例を説明し、本人に自白させるか、または、その嘘を、目の動き等で見抜くしかありません。

そこで、現地面接の際は、できるだけ予定通りに入国させるためにも、以下の点に十分ご注意ください。

なお、当監理団体が提携している送り出し機関に対しては、当監理団体から、チェックシートを提供しており、面接候補者になる前の段階で、確実に調査をさせています。しかし、送り出し機関における調査で、虚偽の証言をする者が少なからずおります。したがって、現地面接が非常に重要となります。

 

1.まずは以前入管にCOE申請をしたことがあるか、あるいは在留資格「短期滞在」の申請の場合は、大使館にビザ申請をしたことがあるかどうかを確認する。

2.もし申請したことがあれば、以前入管や大使館に提出した履歴書やパスポートのコピーを受け取る。何の在留資格を申請したか確認し、入国歴があれば入国回数・入国目的や滞在期間・更新したかどうか等・詳細を確認する。

3.それが入手できなければ、どんなに良さそうな者であっても、絶対に選ばない。

4.申請したかどうかはっきりしない場合でも、念のため、選ばないようにする。なぜなら、もしかしたら、在留資格「興行(歌手やダンサーなど)」であれば、本人が知らない間に、日本の業者に申請されている可能性があるからです。

5.以前の申請について、正直に話し、当時の履歴書やパスポートのコピーを提出した者に対しても、以前の申請が1年以上前のものであれば、信ぴょう性に欠けるため、原則として受け付けない。

6.以前申請していれば、たとえそれが10年前であっても、絶対に入管にはわかり、結局入国できなくなり、送り出し機関、監理団体、実習実施機関に大きな迷惑をかけてしまう、次のチャンスは無い、ということを説明し、緊張感を持たせることが重要だと考えます。技能実習生になろうとする外国人の中には、日本の入管がそこまでしっかりと調査しているということを理解しておらず、嘘が通ると考えている者が少なくありません。