平成27年 労基署の監督指導結果について
平成28年8月16日、厚生労働省が平成27年の外国人技能実習生の実習実施機関に対する監督指導、送検の状況を公表しました。
実習生受入企業に対する監督指導等について(平成27年)
不正行為を行った実習実施機関等は、入管からその内容や悪質性等により、以下の4つのいずれかの処分が下されます。
1.非該当
2.不正行為の再発防止についての注意喚起
3.改善指導の対象となる不正行為
4.受入れが認められない不正行為
平成27年の労働基準監督署の監督指導では、主に以下のような違反がみられました。
1.労働時間過多(36協定の協定時間を超えている)
2.割増賃金の不払(労基法第37条)
3.法定休日付与違反(労基法35条、36条)
4.無資格の者を就業制限業務に従事させている(安衛法第20~25条)
実習生から労働基準監督署に労基法令違反の是正を求めた主な申告内容は、以下のとおりです。平成27年の申告数は89件であり、ほぼすべてが賃金不払関係でした。
1.賃金不払(労基法第24条、第37条)
2.最低賃金(最低賃金法第4条)
3.解雇予告手当等(労基法第20条等)
重大・悪質な労働基準関係法令違反が認められると、送検されることがあります。平成27年の送検件数は昨年を大幅に上回る46件となっており、主な内容は以下のとおりです。
1.虚偽の賃金台帳の作成(悪質なもの)
2.多額の賃金不払い
3.監理団体による不正関与(悪質なもの)
4.就業制限業務に無資格で従事させ、死亡事故発生
外国人でも、パートでも、アルバイトでも、雇用契約に基づいて正社員と同様に労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金法、労働者災害補償保険法、個人情報保護法等、日本のあらゆる法律が適用されます。
送検されるとニュース等で社名が公表されるため、社会的信用失墜、莫大な損害賠償などダメージは計り知れません。
違反防止のためにできること
1.最低賃金について
各都道府県の最低賃金は毎年10月頃、特定(産業別)最低賃金は毎年12月頃改定されます。技能実習生を含む従業員の賃金が最低時給金額を下回っていないか、都度確認しましょう。
2.時間外労働、休日労働について
特別条項付き36協定を締結しても、その限度を超える時間外労働は認められません。また、今後は特別条項が100時間であったとしても、80時間を超えた場合は時間外労働の削減及び過重労働による健康障害の防止について指導の対象となります。すべての休日で休まず労働させることができる、という内容の36協定であっても同様です。週に一度の法定休日(または就業規則等の定めによる4週4休)は、原則としてきちんと休ませましょう。
3.就業制限業務について
就業制限業務については、必要な「技能講習」または「特別教育」の受講、「免許」取得をさせるまでは絶対に従事させないようにしましょう。無資格で機械を使用させたうえ死亡事故等があった場合、送検、公表され、一定期間実習生の受入れができなくなります。
なお、当組合ではたとえ国際免許等があったとしても、技能実習生による不慮の事故防止のため、業務上・業務外にかかわらず車の運転を認めておりません。